多くの開発途上国では、道路や情報通信技術、衛生施設、電力、水道といった生活を支える基盤(インフラストラクチャー)が整備されておらず、中でもアフリカ諸国では、インフラの未整備により企業の生産性が約40%損なわれているといわれています。
また、世界人口の16%が携帯ブロードバンド・ネットワークにアクセスできないことも課題の1つとされている中で、すべての人々に安価で公平かつ強靭なインフラ構築が求められます。
この強靭(レジリエント)とは、例えば自然災害に見舞われたとして、いち早くその復旧がなされるのも強靭さがあってこそだといえます。
産業と技術革新によって、2030年までに資源利用効率の向上、クリーン技術や環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大などがターゲットにもなっていますが、そういった取り組みに注目し、応援していくことが我々市民に出来ることの1つだといえそうです。
目標9について考えたこと
産業とか技術革新とか、どこか遠くの話のように聞こえますが、日々スマホを駆使してSNSを楽しめるのも、電気ガス水道に不自由しない生活を送れるのも、これらの恩恵を享受しているからなのですよね。
そう考えると、実はものすごく身近にあるものだと感じるようになってきます。
上記に書いたレジリエントなインフラについて、気候変動によって自然災害が増えつつある今、インフラ整備に欠かせない要素といわれています。
そしてそれと同じくらい重要なこととして、『人と人とのつながりを保っておくこと』も挙げられます。
最低限の機能が復旧されるまでの数日間を、共に助け合いながら、不便な環境をしのいでいくのに、結局は『人』が関わってくるからです。
被災地の人々に一刻も早く支援物資を届ける。
救助を必要としている人がいる情報をシェアする。
これまでの災害のときにも、SNSを駆使して助け合った場面が多くありました。
今でいうと、コロナ禍で行き場を失った食品や生花などを無駄にしないで、生産者を応援するネットワークが活用される場面も多く見受けられます。
また、非常事態でなくても、思うところがあります。それは、視覚や聴覚などに障がいを持つ方々が、何不自由なく街を行き来するには、やはり『人』の関わり方が必要だということです。
過去に参加したイベントの1つで、いくつかの企業の社員の方々と、目が見えない方、耳が聞こえない方、身体に障がいを持つ方、ニートの方々と200人単位でキャンプする『ユニバーサルキャンプ』というものがありました。
八丈島にわたり、それこそ電気や水道など、日常とは異なる生活基盤)で、職業も年齢も性別も超えて、一緒に数日間のキャンプ生活をするのです。目が見えない方が日ごろ感じていることを聞いたり、耳の不自由な方がどうしたら過ごしやすいかを知ることが出来ました。
中でも、手話を使う集団の中に混じって、手話が分からない私が『会話』についていけずに『??』と苦笑いでその場をやり過ごした、あの生ぬるい時間は今でも印象に残っています。逆の立場で、せわしなく会話が行きかう中を、話題についていけない人のことを考えて『伝えること』『共有すること』の大切さについて考えさせられたのです。
(何を言っているか唇を見て判断する読唇術や、筆談などの方法もありますが、その後、最低限の挨拶などは手話でやりとりできるように勉強しました)
別の機会で、目の不自由な方とテレビ電話をすることで、その方の靴下の色の組み合わせを確認したり、はがきを代読する『テレサポ』という取り組みを1年ほどさせて頂いたのですが、点字の重要性はさることながら、ちょっとした時にちょっとしたことを聞ける場所があることの重要性も知りました。そうすれば、不自由というものはなく、人の取り組み次第で障壁は取っ払えるのだと分かったからです。
インフラの土台には人ありき。
その普及だけではなく、どのように活用し、多くの人の知識を総動員して問題解決していく場が真の意味での『ネットワークの活用』になるように感じます。
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